・・・ずいぶん日本的な姿に変化したものだ。
シンディーはいったい何を見せたのだろうか?
『 うん、いいね。イメージ通り!』シンディーは
親指を立てて、ムーピーの顔の横にスマホを掲げた。
そこには羽織を着た侍のイラストが表示されている。
『 新選組・・・ 』 ベーシストと全く関係ないな。
『 沖田総司がベースを弾いたらクールじゃない?』
翌日、シンディーの宇宙船から歩いて10分程の
「平成」という居酒屋で歓迎会を開くことになった。
ベーシストが見つかったシンディーは上機嫌だ。
そしてムーピーの方は・・・まるでお通夜である。
『 うぅっ、お父さん、お母さん… 』
もはや自分が故郷に帰れないことを悟ったようだ。
シンディーは召喚はできるが、転送ができない。
『 大丈夫!レベルアップすれば転送するから!』
彼女は生ビールのジョッキを持って軽口を叩く。
少なくともレベル5以上のアップが必要なはずだ。
『 ところで今さらなんだけど、名前は?』
僕はカウンター席ですすり泣くムーピーに聞いた。
『 ボクディラン… 』 ・・・え? 『 僕、ディラン?』
彼女は首を横に振った。『 ボクディランです 』
何だか「 風に吹かれて」でも歌いそうな名前だな。
『 呼び辛い!ディラン、あんたはディランよ!』
シンディーは完全にできあがってんな、真っ赤だ。
『 あんたムーピーでしょ?エデン17から来たの?』
『 いえ…その星はもうありません。地球人との
混血種がいましたが、大地震で無くなりました 』
そして彼女はシリウス12番星の出身だと明かした。