
『 え?ダメに決まってるじゃないですか 』
DJ姿のスケルトンは僕の質問をあっさり否定した。
『 肖像画ですよ?そこにある絵はシンディさんの
本当の姿を描いたものではないので、NGです 』
必要な説明を終えると、アゲちゃんはレコードを
1枚取り出してブースのプレイヤーにセットした。
ヨハン・パッヘルベルのカノンが部屋に流れる。
アゲちゃんはウェッジウッドのティーカップに
入れたての紅茶を注ぎ、それを上品に一口飲んだ。
『 鏡はその人の外見を映し出すだけのものですが
肖像画はその人の姿から内面を表現するものです 』
アゲちゃんは恍惚とした表情でナルシストに語る。
『 そんな猫を擬人化したような絵は、ダメです
もっと彼女の本当の姿を描いてもらってください 』
『 あと・・・62時間以内に 』
そしてアゲちゃんは悪魔のようにニヤリと笑う。
モニターにカウントダウンタイマーが表示された。
ピッ、ピッ、ピッ…と、1秒ずつ時間が減っていく。
これがゼロになった時、彼女の寿命が100年縮む。
シンディは無表情にそのタイマーを眺めている。
思ったよりも冷静だ。いや、そう見えるだけか?
う〜ん・・・思った以上に難しいミッションだな。
あの北斎にまた絵を描いてもらう…理由が必要だ。
普通に頼んだところで断られるのがオチだろう。
つまり北斎が絶対に断れない条件が必要なわけだ。
ここは江戸時代、それを満たす方法として・・・
BGMのカノンがクライマックスを迎えたその時
僕の脳にあるアイデアが閃いた。『 ショーグンだ 』