シンディはワナワナと体を震わせゲーム機を睨む。
そして突然、それを床に叩きつけ破壊しようとした。
『 おっとぉ、そいつはルール違反ですよ 』
ドクロのアゲちゃんは画面上でカラカラと笑う。
『 盟約は絶対。あなたも魔族なら分かるでしょ? 』
シンディは振り上げた手を止めて、歯ぎしりした。
『 盟約違反は即デス、これハデスご利用の常識ね 』
ハデスとは冥王ハデスがCEOを務める宇宙企業だ。
主にデス系、呪いのアイテムの売買をしている。
デスノートや魔人の斧など、ヒット商品も多い。
【 安心と信頼のデス 】がモットーの巨大な組織だ。
盟約を結べば願いは叶うが、対価は相手の寿命。
違反すれば、肉体は砂と化し冥界を永遠にさまよう。
まさかディランがこんなモノを持ってくるとは…。
『 ご、ごめんなさぃ〜!買ったのは私なので
私の寿命を使ってもらうことはできませんか?』
ディランはシンディとゲーム機の間に割って入り
涙目で必死にアゲちゃんに盟約の変更を訴えた。
ドクロはため息をつき、説明する 『 不可能デス 』
ディランは何も返せず、青ざめた顔で息を飲んだ。
『 冥界との繋がりを持った命は切り離せマセン 』
ディランは力なく泣き崩れ、その場に座りこんだ。
もはやシンディは彼女を責める気も無いようだ。
ただ黙って目を閉じて、何かを考えこんでいる。
しばらくすると、ふぅ〜っと大きく息を吐いた。
『 わかった。冥界との盟約ね。それで、対価は?』
アゲちゃんは営業スマイルで計算機を軽快に叩く。
『 まいど!1ミッションにつき100年ですね!』