『 まさか酔い潰れるとはなぁ・・・』
結局あのあと、ディランは焼き鳥を20本以上も
たいらげて、焼酎を1リットル近く飲み干した。
閑静な住宅街の夜道、ディランを背負って歩く
シンディの背中を三日月が明るく照らしている。
ちょうどいま夜中の22:00をまわったところだ。
冷たい夜風が吹き、酔いもすっかり醒めてしまった。
『 よっぽど焼き鳥が気に入ったんだね 』
ディランの寝顔を横目で見ながら僕は言った。
シンディはとぼとぼ歩きながらため息をつく。
『 ムーピーは基本的に固形物たべないんだけどね 』
『 何を食べるの? 』 『 硫黄のスープとか、マグマ 』
宇宙は広い、多様な生物の食生活は本当に様々だ。
『 地球の食べ物は美味しいから気持ちは分かる 』
そういえばシンディが初めて地球の食べ物を
食べた時もずいぶん感動していた記憶があるな。
『 ウチは肉とか焼かないもん 』 悪魔星の食生活か。
『 全部生で食べるの? 』『 生きたまま食べてた 』
うぇ・・・ちょっと引くわ、それからシンディは
生肉の旨さと、生き血の美味しさを僕に力説した。
『 炭酸水で割ると美味しいんだよねぇ・・・ 』
『 ぜったい地球でやるなよ 』 僕は真顔で言った。
『 やらないやらない、この星のルールは理解した 』
彼女はこちらを向く。『 ヤッちゃダメなんだよね?』
『 ダメ 』 僕が大きく頷くと、彼女はニヤリと笑う。
『 オッケー、オリジン種のムーピーも手に入ったし
しばらくお金には困らないから大人しくするよ 』
純血種は高い。この女、ディランを売るつもりか?