『 え!?シリウス12番星? オリジン種なの? 』
ディランの出身を聞くと、シンディの態度が
明らかに変化した。オリジンとは純血種のことだ。
シンディによると、純血のムーピーはもはや
絶滅危惧種で、宇宙でもかなり希少な存在らしい。
『 ムーピー狩りが一時期、流行ったからねぇ… 』
なるほど、乱獲された種族の末裔なわけだ。
ムーピーはもともと過酷な星でも生存できる
液状の不定形生物で、それゆえに愛好家も多い。
『 私のパパもペットで飼ってたのよ 』
おいおい…ちょっとデリカシーの無い発言だな。
カウンター席のディランを見ると青ざめている。
同族がペット扱いされた悔しさか、悲しさか。
シンディはスマホを取り出してアプリを開いた。
『 シリウス12はかなり遠いよね…ほら、見てこれ 』
彼女はスマホの画面を僕に向かって見せた。
・・・え?ここから50億光年も離れてんの!?
僕の故郷のアドリブ星が5億光年、シンディの
悪魔星が7億光年の距離だから、その10倍近い。
『 すげえ…よくこの距離で召喚できたな・・・ 』
『 あの… 』 ディランが恐る恐る僕らに話しかける。
『 帰れますか?』 僕とシンディは顔を見合わせた。
無理、とは言えないよなぁ…これだけ距離があると
最新型の宇宙船で片道600年はかかる計算だ。
『 うん、まあ、とりあえずその話は置いといてさ 』
シンディはディランに焼き鳥の皿をすすめた。
『はぁ… 』 彼女はとりあえず一口、焼き鳥を食べた。
すると、彼女の表情がパァっと明るくなっていく。