『 みんなー!ありがとうー!! 』
魔法陣から現れたペンギンのような生物は無人の
ピンクの壁に向かって、両手を挙げて大きく振った。
きっと脳が次元の変化に対応していないのだろう。
そして3秒後、振っていた両手がピタリと止まる。
ゆっくり振り返ったペンギンと僕らの目が合った。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・沈黙。
『 ハロー♪ 』シンディーが明るく手を振って言った。
すごいな、全く罪悪感を感じていないようだ。
『 え?、なに、ここ、どこ?みんなは?』
どうやらペンギンの脳が現実を認識してきたらしい。
『 お客さんは⁉︎ あれ?さっきまでステージで⁉︎ 』
あっぶねー・・・もう少しでビリーシーンが
このペンギンと同じ状況になるところだったな。
『 ちょっと!ここどこなんですか!? 』
ベースを持ったペンギンが僕につかみかかってくる。
こんな絶望的な顔のペンギンを見るのは初めてだ。
『 地球、という星です 』 僕は冷静に答えてあげた。
『 ち、ちきう…? ってあの?太陽の? 』
どうやら、かなり遠い星から召喚されたらしいな。
『 あ、明日、仕事なんですけどー!!』
ついにペンギンが発狂しだした。まあ、無理もない。
『 まあまあ、来ちゃったものは仕方ないよ 』
シンディーは他人事のように面白がっているようだ。
そして突然、彼女はペンギンの顔をまじまじと見た。
『 あれ?あなた、もしかしてムーピー? 』
シンディーが青髪の時の能力は『 無(スルー) 』
その目は相手の本当の姿を映しだすことができる。